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わたしの夢は叶った

 

都内で働くこと

誰かを支える仕事をすること

少し華やかな業界であること

 

勤務時間も長すぎず、朝もゆっくりできる

小さな会社だから貢献度がすぐに分かる

みんなに頼られ責任のある仕事も増えた

月給も、同級生の手取りよりずっと多い

何より職場の人たちが本当にみんなが良い人で

こんなにも人に恵まれていいのかといつも思う

女しか居ない職場だけど人間関係で悩んだことはない

 

なにも不満はないのに

毎日頑張って働いているのに

どうして こんなに 満たされないんだろう

ぬるま湯に浸かっているような気持ちになるんだろう

 

その思いが日に日に増していく

 

 

本当の夢は、企業で働く臨床心理士だった

 

昔から“人間”にイチバン興味があった

いつもいつも人間のことばかり考えてた

人間に関することなら何でも考えてた

 

哲学や心理学の本もたくさん読んだ

わたしは考えることを突き詰める人でありたいと

人間は考えることを辞めてはいけない

考え続けるべきだと常に思っていた

 

人間の人生におこること全て、

考え方次第で 考え方を変えるだけで

素晴らしいものにもなるんだ

 

不幸な出来事と捉えるか

幸せな出来事と捉えるかは

その人の努力次第だと思う

 

わたしはもうじぶんひとりで真理を見い出したんだと

幼いながらに本気でそう思っていた

 

それなのに目の前の友達が苦しんでいる姿を見て

なにも言えない なにもできない自分が心底嫌だった

いつかきちんとした技術を学んだ人に

そうだ 臨床心理士になりたいと思った

わたしが生まれて初めてなりたいものを見つけた瞬間だった

  

そうして長年培ってきた集中力は

わたしの中の暗いところへ向いてしまった

 

鬱病だと認めるのが怖かった

高校3年の頃だった

進学校特有のあの大学受験の雰囲気に乗り切れなかった

 

必死にしがみついて合格した大学で

臨床心理士を目指している最中も

わたしがわたしの邪魔をした

 

結局わたしは大学を中退した

臨床心理士に向いていなかったんだ

 

人のことより自分のことを心配しなければいけなくなった

凄まじい集中力を外へ向ける必要があった

そうして人間のことを考えないようにしてきた

なるべく なるべく考えないように

考えないように 空気を吸って 景色に見惚れて

そうそう映画の世界に入り込んだり

美しいものを 視覚的刺激を求めるようにした

 

臨床心理士にもう未練は無い

わたしが臨床心理士にならなくても

強いひとは強いから

 

周りの友達が悩んでいるときは

なにも言えなくいい

一緒にごはんを食べに行こう

一緒に綺麗な景色を観に行こう

わたしもそう思えるようになった

 

それに 今更、の話だから

 

そうして今の私が在る

 

新しい夢を見つけてそれを叶えた

それなのに満たされないのはやっぱり

 

わたしはやっぱり

もう一度考えることを始めたい

どうしても人間が気になる

人間の見えないところに興味を持ってしまう

 

好きなこと興味のあること

どうしても気になってしまうこと

それを突き詰めることが天職なんだと

 

なにも不満がないのなら

今の職場のままでいいじゃない

何度もそう思うようにしたでもだめだった

 

ぬるま湯から抜け出すためには

天職に転職すること他ならない

 

じゃあ私にとっての天職ってどれ?

 

また始めるよ

少しずつ

毎日新しい自分

毎日なにものでもない自分

 

何者かになりたくて また新しい夢を探しにいく